「きょうはいいてんき。」の たきさとみいこ様より小説を頂戴しました!
みいこさんちのキリバンを私が踏み、
といっても1999というニア番だったんですが、
みいこさんがリクどうぞと言ってくださいましたので、
遠慮なくお願いした次第です。うへへ♪

「日々これ青春」の二次創作なんですよ☆
しょー&うー&ナベが出てくるんですよ☆
自分の漫画を小説にしていただいたのは初めてなので、
余計に嬉しいです! きゃっほう!≧▽≦


 


〜遊園地へ行こう〜


 とある平日の朝、遊園地の開園と同時に入ろうと、チケットを買い、ゲートの前に並ぶ3人の高校生がいた。

 ゲートの向こうにゲストを待つキャラクターが現れた。
「うーちゃん、ウサッキーだ!」
相木翔太郎が、女顔で童顔な顔をより子供らしくして、雨月雅人の袖を持って振りながら、興奮して言った。
「翔太郎、あれは単なる人の入っている着ぐるみだ。」
雨月は、ため息をつきながら、自分の平均的な身長を優に越す大柄な翔太郎を見上げた。太陽の光で、翔太郎の軽くウェーブのかかった茶色い髪が透けて見える。今日は天気がよさそうだ。
「雨月、確かに、あれは人の入った着ぐるみだ。」
二人の会話に、睫毛が濃い、かわいい顔立ちの渡辺崇が口をはさんだ。雨月は無表情に軽く見上げて渡辺を見た。渡辺は雨月を見つめながら真剣な口調で続けた。
「しかし、ここでは、子供にも大人にも夢を与えるウサッキーなんだ。」
「ナベちゃん、そうだよね!!あれは、ウサッキーなんだよ、うーちゃん。」
翔太郎は、渡辺の言葉に反応して大はしゃぎした。渡辺も翔太郎を見上げて見て、頷いた。
「そうだ、相木。あれは、ウサッキーだ。わかるか、雨月。」
そして、二人に見つめられて、雨月はまた、軽くため息をついたあと、ゲートの向こう側にいるうさぎの着ぐるみを見た。
(ウサッキーか。どうみても、ただの着ぐるみにしか見えないが。)
雨月の無表情に着ぐるみを見つめるその姿は、年齢より、ずっと大人びて見える。
 そうして、ゲートは開けられた。3人の遊園地タイムが始まった。

 事の起こりは、翔太郎がバイト先で、遊園地の割引券をもらったことから始まった。
 隣に住む雨月を誘って、二人の通う海神高校の開校記念日の休みに遊びに行くことにした。それをたまたまバイト先に買い物に来ていた、雨月と同じ中学出身で、同じ高校に通う渡辺に、翔太郎がつい話をし、そうして、流れで3人で行くことになった。

 平日とあって、遊園地は空いていた。普段なら、人だかりするウサッキーのまわりも今日は人が少なく、落ち着いて写真を撮る姿が見られた。
「ウサッキーと撮ろうよ、うーちゃん。」
「行くぞ、雨月。」
翔太郎と渡辺は雨月を引っ張って、ウサッキーのもとに行く。そして、二人はウサッキーのそばにいるスタッフに携帯をカメラの状態にして渡した。
「うーちゃんも携帯。」
「いや、俺は・・・」
雨月の言葉を聞かずに、翔太郎は雨月の携帯をポケットから抜き、スタッフに渡した。
「ほら、撮るぞ。」
ウサッキーの横に立った渡辺の隣に、憮然とした表情で雨月は立った。なぜか戻った翔太郎も憮然としていた。
「俺、ナベちゃんの場所がいい。」
「ウサッキーの横があいてるだろ。」
「ナベちゃん、代わってよ。」
「嫌だ。」
ウサッキーと雨月の間の位置。その場所を取り合い始めた二人に、携帯を構えたスタッフの表情が硬くなってきた。周りもなんとなく騒然としている。ウサッキーもおろおろし始めた。
(こいつら・・・!!!)
ゴン!ゴン!と鈍い音が鳴り響いた。翔太郎も渡辺もその瞬間、頭を抱えて痛みをこらえた。雨月は切れると相手にげんこつをお見舞いする。
「ウサッキーが困ってるだろうが!!」
怒りながら、雨月はウサッキーの両サイドに翔太郎と渡辺を立たせて、スタッフのところに行き、軽く謝りながら、カメラモードが切れた携帯を直した。そして、ため息をついて、ウサッキーの前に座った。

「うーちゃん、『ウサッキーが困ってる』なんて言っちゃって。」
「認めたな、雨月。」
うれしそうに翔太郎と渡辺が言う。
「そうだ。うーちゃん携帯かして。」
翔太郎は雨月の携帯をなにやら操作し始めた。
「何を勝手に!」
「ほら!!」
携帯の待ち受けが、ウサッキーを囲む3人の写真になっていた。
「なるほど、俺もそうしよう。」
「俺も。」
雨月は、翔太郎と渡辺のテンションの高さに、ため息をつきながら携帯を閉じた。


 空いてるため、手当たり次第、遊んでいくことにした。
 −30℃の部屋に半袖で入り、あまりの寒さにただ駆け抜けて出てきたり、馬に乗って、ただ上下していたり、コーヒーカップ型乗り物に乗って、ただ回転していたり。遊園地という場所は、楽しい時間を作り出す夢の空間のようだが、それは、どこまでも作り出されたもので、その空間に浸れないなら夢さえ見れないものだ。雨月は、次は何に乗ろうか、と盛り上がる二人を見ながら、その盛り上がりに入れずにいた。
 ふとすると、二人はじゃんけんをしていた。
「俺の勝ち〜!!」
翔太郎がバンザイをして、雨月を引っ張っていった。
「次は俺とだからな。」
二人の後ろを渡辺が歩く。着いた先は、この遊園地でのメイン、ジェットコースターだ。

 ジェットコースターとは、位置エネルギーを運動エネルギーに変換して動くものである。このジェットコースターの位置エネルギーは大きい。つまり、かなり高い位置まで上がるということだ。
「・・・・。」
雨月は、翔太郎に何かしら言おうとして、言い損ねた。そして、流れのままに翔太郎の隣に座る。後ろには渡辺が座った。
 ジェットコースターは動き出した。坂を上るその先は青い空しか見えない。翔太郎と渡辺が驚きの声を上げていたが、雨月にはほとんど聞き取れなかった。雨月のバーを持つ手に力が入る。
「うーちゃん?」
雨月の表情の硬さに気が付いた翔太郎は、あることを思い出した。以前、雨月のことをお姫様抱っこをして、雨月の家の2階から、隣の翔太郎の住む家の2階に渡ったことがあった。そのとき、雨月は高いことをとても怖がって翔太郎にしがみついていたのだ。
 しまった、と翔太郎が思った瞬間、ジェットコースターが下に方向を変え、高速になった。

 すべてが終わり、元の場所にジェットコースターが戻った。
「うーちゃん!!大丈夫?」
雨月の顔からは血の気が引いて、真っ青になっていた。渡辺と翔太郎で雨月を抱えるようにしてジェットコースターから降ろした。
「・・・気持ちが悪い・・・。」
雨月はそう訴えるので精いっぱいだった。


 フードコートの椅子に雨月はぐったりとして座った。
「飲むか?」
渡辺がペットボトルの水を差しだした。雨月はそれを口に少しだけ含んだ。
「高所恐怖症だったね、うーちゃん。」
忘れていたことをすまなそうに翔太郎は言った。
「少し、ここで休もうよ。」
(別に翔太郎のせいじゃない。)
逆に、自分のせいで二人がここで時間をつぶしてしまうことが、雨月はつらかった。
「俺は、ここで休んでるから、二人で遊んで来いよ。」
「そんなの嫌だよ。うーちゃんも一緒じゃないと嫌だよ。」
雨月の言葉に、すぐに翔太郎は反応した。そして、その瞬間、ぐるるる、と翔太郎のお腹がなった。
「デリカシーってもんがないのか、相木。」
「ごめん・・・。」
大きい身体をどんどん小さく丸めていく翔太郎を見ながら、渡辺が言った。
「相木、ハンバーガー10個でいいか?」
「ナベちゃん、おごってくれんの?」
嬉しそうに翔太郎が顔を上げた。翔太郎は大食いなのだ。
「そんなわけないだろ。」
「ポテトも10個。」
「わかった。」
そして、雨月を渡辺は見た。
「俺たちは、昼食をとる。お前は勝手に休んでいろ。」
渡辺は、そう言い残して売店に向かった。
「そうそう、俺たちはご飯食べるだけ。」
翔太郎はそう言って、雨月を見て、笑った。そして、渡辺がハンバーガーを持ちきれないのを見て、取りに行った。
 雨月は売店の前でわたわたしている二人を見て、思わずクスリと笑った。

 どのくらい時間が立っていたのだろう。自分が眠ってしまっていたことに気が付いた雨月は、動こうとした。両肩が重たい。翔太郎と渡辺が雨月の肩を枕にして眠っていたのだ。そして、目の前にハンバーガーとポテトの空が山のようにあった。
(食べた後、俺を起こさずに待っていて、そのまま二人とも眠ってしまったのか。)
二人ともバカだ、と思いながらも、その肩の重みがとても心地よかった。
 雨月が軽く動いたことで、二人も目を覚ました。
「うーちゃん、おはよ。気持ち悪いの、どう?」
「顔色が戻ったな、雨月。」
雨月の顔を覗き込む二人に、雨月は答えた。
「もう、大丈夫だ。・・・ありがとう。」
翔太郎と渡辺は顔を見合わせて笑った。雨月も笑った。
 
 
 次のアトラクションを最後にすることにした。
「うーちゃん、最後は何にする?」
「雨月は、あと、何ならいけるんだ?」
「そうだな・・・。」
雨月は少し考えて、指を差した。その方向にはお化け屋敷があった。

 お化け屋敷とは、人の五感をうまく利用して恐怖心を作り、それを楽しむアトラクションだ。
「うーちゃん、お化け屋敷、好きなんだ。」
「別に。」
雨月の右腕にしがみついて話す翔太郎に、雨月は平然と答えた。
「すべて作り物だ。」
「それは、わかってるが・・・。」
雨月の左腕にしがみつきながら、渡辺は言った。雨月を間に挟み、くっついたまま、角を曲がった。
 その瞬間に、大きな音とともに顔に強く空気が当たった。
「「「うわあ!!」」」
3人そろって声を上げた。
「やっぱり、雨月もびっくりするじゃないかあ!!」
「びっくりするようになってるのだから、びっくりするに決まってるだろう!!」
「うわーん、どきどきするよー!!うーちゃん、なんとかして!!」
「なんともならない!!」
雨月はしがみつく二人をひきずりながら、前へ進む。
 そして、結局、すべてのトラップにはまり、お化け屋敷の製作者の思い通りに、驚きやら恐怖の叫びを上げながら、なんとか出口を出た。
「こ、こわかった・・・。」
「まだ、どきどきする。」
すっかり冷や汗をかいている翔太郎と渡辺に、二人を引っ張って汗をかいた雨月が答えた。
「おばけより、お前たちの方が大変だった。」
「えー、そりゃないよ、うーちゃん。」
「雨月だって、結構ビクッてしてたぞ。」
外でも3人でくっついて、わいわい話しながら、今日、最後のアトラクションを後にした。


 ゲート前に、お土産屋さんがあった。3人とも申し合わせたように、お土産屋さんに入る。そして、それぞれ、身内や世話になっている人へお菓子や小物を買う。
 雨月は、ふと、ストラップが目に留まった。針金と皮で作られた携帯ストラップだ。色も茶でおさえられていて、針金でウサッキーを小さく形どり、皮に小さく遊園地名が入っていた。雨月は何を思うこともなく、それに手をのばそうとした。
 すると、そこに、二人、手をのばしてきた。翔太郎と渡辺だった。3人顔を見合わせて、手を引いた。
「えっと・・・。」
翔太郎が再び手を伸ばし、ストラップを3つ一緒にとった。
「はい。」
翔太郎は、雨月と渡辺にストラップを一つずつ渡した。
「買ってこうよ。」
翔太郎が笑顔でそう言った。雨月も渡辺もはにかんだ笑顔で頷いた。

 ゲートをくぐると、渡辺が突然言った。
「雨月、さっきのストラップと携帯を貸せ。」
雨月は不可解な顔をして、渡辺にストラップと携帯を渡した。
「お前、面倒くさがりだからな。」
渡辺は、携帯にストラップをつけて返した。いつの間にか、翔太郎も渡辺も買ったストラップを携帯につけていた。
 雨月は携帯を開けた。
「また、3人で遊ぼうよ。」
翔太郎が明るい声で言う。
「今度は、どこにしようか。」
渡辺も明るい声で言う。雨月の開いた携帯の待ち受けには、ウサッキーとともに、自分と自分の友達二人がいた。雨月は携帯を閉じ、そして、言った。
「どこでもいい。」
そう言った雨月を見る二人の目は穏やかだった。

 空にはきれいな夕焼けが広がり、一番星が光る。明日も、きっと晴れるだろう。


 


いや〜3人の姿が目に浮かびますね。
とってもリアルに感じられます。
それから、しょーとナベが可愛いったらありゃしません!
うー争奪戦をやってんだもんなあ。
なんっっって微笑ましいんだか♪

それと、ウサッキー。
一体どんな子なんでしょうね?
着ぐるみ好きとしては、非常に気になります。

みいこさん、本当にどうもありがとうございました!
図々しいリクを快諾していただいたばかりか、
こお〜んなに楽しい作品を書いていただいて
感謝感激でありますよ〜〜〜!≧▽≦
またヨロシク…げふんげふん;


2011.10.10.